僕は40歳までにサブ3を目指しているいち市民ランナーです(PB:3時間4分16秒)。
日々のトレーニングにGarmin(ガーミン)を使っているのですが、Garminが測定してくれる項目のひとつに「VO2 Max」があります。
なんとなく「とりあえず数値が高ければいいんでしょ?」くらいの感覚で理解していたんですが、そろそろまじめに勉強しようと「VO2 Maxとは?」レベルから学び直したのでシェアします。
Garminの公式ページを読んでみたけど直訳された日本語すぎて、この人何言ってるのかわからないという人は参考にしてください。
2024年1月にプーマが発売した「SOFTRIDE EASE IN(ソフトライド イーズイン)」。マラソン後のリカバリーシューズに良さそうだったので、ランナーのみなさんに共有します^^
「VO2 Max」とは?全ランナーが知っておくべきめちゃ重要な指標
Garmin公式がかんたんな動画を公開されているので、先に見ておくと理解が進むと思います。
VO2 Max(最大酸素摂取量)は一番激しい運動をしたときに、その人が1分間に体重1kgあたりで摂取できる酸素の量(ml)を表した値です。
単位は
です。
酸素は細胞(筋肉)がエネルギーを生み出す手助けをしてくれます。
VO2 Maxが高くなって酸素をたくさん体内に取り込むことができるようになれば、より長時間、激しい運動を続けることができます。
もっと言うなら、VO2 Maxを向上させることで長時間にわたって速く走れるようになります。
VO2 Maxの改善は全人類にメリットがある
世の中には「VO2 Max」という言葉を知ることなく、生涯を終える人の方が圧倒的に多いと思われます。
しかし、VO2 Maxはランナーでなくとも、すべての人類にとって重要なものだと言えます。
VO2 Maxが増えると、1回の心拍で送れる酸素の量が増えます。1回でたくさんの酸素を体内に送ることができれば心拍数が少なくなり、心臓や血管にかかる負担も減ります。
負担が減れば、心臓や血管に関わる病気の発生リスクも小さくなります。つまりVO2 Maxを高めることは、全人類が健康的に生きる上で重要なことと言えます。
VO2 Maxの測定方法
VO2 Maxを正確に測るためには「呼気ガス分析」が必要です。
呼気ガス(吐く息)の分析ができる装置をつけて、トレッドミルで徐々に速度を速くして、限界まで追い込んで測定します。
よくアスリートがやっているのを見たりしますね。
もちろん、いち市民ランナーが気軽に利用できる装置ではありません。
そこで簡易的に計測する方法として、
- 計算式で求める
- シャトルランの記録で求める
- Garminを使って測定する
ことができます。
VO2 Max = 15×最大心拍数÷安静時心拍数
超ざっくりとしたVO2 Maxは、机上の計算で求めることができます。
最大心拍数は「220 – 年齢」で目安がわかります。35歳なら「185」が最大心拍数になります。
安静時心拍数は手首に指を当てて30秒間の心拍数を測り、2倍すれば求められます。また、最近は安いトラッカーでも心拍数くらいは正確に測れます。
僕のVO2 Maxを数式から求めると、
2024/02/24現在の僕のGarminが示すVO2 Maxは「67」なので、けっこう良い線いってます。
実はシャトルランでもVO2 Maxが推定できる
もし、測定できる場所と根性があるなら、シャトルランをすることで、おおよそのVO2 Maxを知ることができます。
文科省の「新体力テスト実施要項」には20mシャトルランの結果による最大酸素摂取量推定表が掲載されています。
引用元:https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/stamina/05030101/003.pdf
平成12年(2000年)と少し古めのデータですが、これも参考になります。
ただ、大人になってから学生時代に「憂鬱の極み」だったシャトルランを進んでやりたい人なんていないでしょう。
なんでここはお金(Garmin)で解決しましょう。
Garminで測定する方法
Garmin単体でVO2 Maxが測定できるランニング向けモデル(Forerunner/ForeAthlete)は以下のとおり。
\VO2 Maxが測れるランナー向けGarmin/
出典:https://www.garmin.co.jp/- Forerunner 965(2023年4月発売)
有機ELに対応した最上位モデル - Forerunner 955(2022年6月発売)
Forerunner 965の前モデル - ForeAthlete 745
決済・音楽保存機能があるランナー最上位モデル - Forerunner 265(2023年3月発売)
上級者まで対応できるスタンダードモデル。有機EL対応! - Forerunner 255(2022年6月発売)
Forerunner 265の前モデル - Forerunner 165
有機EL・タッチスクリーンに対応したエントリーモデル - ForeAthlete 55
Forerunner 165の前モデル
エントリーモデルだとForeAthlete 55が約3万円で買えます。
最初に設定だけしておけば、あとはふつうにGarminを付けて走ればOK。
- 「設定」>「トレーニングレベル」>「自動検出」の最大心拍数がオンになっているか確認
- トレーニングを開始
- 最大心拍数の70%以上を維持して10分連続の運動をする
- VO2 Maxが測定され、自動で最新の数字に更新される
「最大心拍数の70%以上で10分連続」はハードルが高そうですが、ふつうにジョグするだけでもこれくらまで上がるので、心配しなくてOK。
またGarminのVO2 Maxは「自己ベストな値」ではなく「現状のリアルな数字」に日々更新されます。
つまりサボれば数字は下がりますし、コツコツ続ければ無理しなくても上がっていきます。自分の状態が目に見えて分かり刺激になります。
VO2 Maxを上げる効果的なトレーニングとは?
残念ながらVO2 Maxは先天的(遺伝的)に決まるところが大きいようです。
悲しいかなこれが現実。
しかし、適切なトレーニングによって、ある程度は効率よく数字を上げることができます。
Garmin公式でも推奨されているのが「インターバルトレーニング」です。
HIIT(高強度インターバルトレーニング)
最近はHIIT(高強度インターバルトレーニング)の知名度が高まっています。
メンタリストのDaiGoさんが取り入れ紹介したこともあり、僕の周りの非ランナーでも取り組んでいる人が増えています。
タバタトレーニングとかが有名ですね。
HIITは息が切れるほどの全力の運動と休憩を繰り返して、最大酸素摂取量に到達することを繰り返すことで、心肺持久力(VO2 Max)を向上させます。
- VO2 Max 90〜100%の強度で行う
- 休憩では再び高強度で運動できるようにしっかり休む
といったことが大切。
例えば僕の場合、日々のランニングコースの中で
- 3kmジョグ
- キロ4分で全力で坂を上る(VO2 Max 90〜100%)
- ジョギング1km
- キロ3分20秒で全力で坂を下る(VO2 Max 90〜100%)
- ジョギング1km
- 平地をキロ3分40〜50秒で走る(VO2 Max 90〜100%)
- ジョグ1km
というように、変化走のようなインターバルを行っています。
VO2 Maxについて気になること
個人的に気になったことを調べてみました。
サブ3を狙うランナーのVO2 Maxの目安は?
エアロビクスの祖「クーパー博士」は、サブ3周辺のランナーの平均的なVO2 Maxを以下のように示しています。
- 2時間57分→VO2 Max 62
- 3時間2分→VO2 Max 61
- 3時間6分→VO2 Max 59
引用元:http://wwwhbb.free.fr/conseils/conseils/test3000m.htm
おおよそ61、62辺りがボーダーラインになりそう。
40代、50代でもVO2 Max上げることができるのか?
VO2 Maxは年齢とともに低下します。これには抗うことができません。
平成18年度厚労省の「健康づくりのための運動基準2006」によると、健康づくりに必要な「最低限の運動をしている人」のVO2 Maxは以下。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0725-9e.pdf
表にはありませんが、VO2 Maxは10代がピークで下がり続けます(恐るべし10代)。
しかし、例えば20代と40代では2〜3の違いしかありません。想像よりも少ないと感じませんか?フルマラソンなら8〜12分程度のアドバンテージです。
年をとれば20代のようなVO2 Maxは出せなくなりますが、トレーニングによって昨日の自分を上回ることは不可能ではありません(と自分に言い聞かせてる)。
季節によってVO2 Maxは変わるものなのか?
神戸大学の研究によると、夏と冬では平均8%程度のVO2 Maxの変動が認められた(冬の方が高い)とのことです。
ただ、僕の1年間(2020年5月〜2021年4月)のVO2 Maxの推移は以下のとおり。
僕の場合は夏に高く、冬に低いですね……。
ちなみに「教育医学」で報告された篠田知之氏らの研究によると、VO2 Maxは9週間前に行った心拍数150〜170のトレーニング時間と強い相関があったとのこと。
つまり、目標の大会の9週間前(約2ヶ月前)のトレーニングの質が重要だということがわかります。
VO2 Maxはトレーニングの効果を見える化する
VO2 Maxはランニングだけでなく、健康的に生きるためにも大切な指標です。
個人的な体感として、トレーニングをサボらずに続けていれば、そこまで無理をしなくてもGarminのVO2 Maxの数値自体は上がります。
ただし、だからと言って、レースでタイムが出るようになるかと言うと、それはまた別問題。
VO2 Max至上主義に陥ることなく、日々のモチベーションを保つためのひとつの指標として、うまく付き合っていくのが良いのかなと思います。
▼合わせて参考にして欲しい記事
それぞれの目標に向けて、一緒にがんばりましょう!
僕はラン歴10年、PBは2時間56分16秒の市民ランナーです。
コロナ禍を乗り越え、遂にレースが帰ってきました!それぞれの目標を達成できるように、いっしょにがんばりましょう^^
\VO2 Maxが測れるランナー向けGarmin/
出典:https://www.garmin.co.jp/- Forerunner 965(2023年4月発売)
有機ELに対応した最上位モデル - Forerunner 955(2022年6月発売)
Forerunner 965の前モデル - ForeAthlete 745
決済・音楽保存機能があるランナー最上位モデル - Forerunner 265(2023年3月発売)
上級者まで対応できるスタンダードモデル。有機EL対応! - Forerunner 255(2022年6月発売)
Forerunner 265の前モデル - Forerunner 165
有機EL・タッチスクリーンに対応したエントリーモデル - ForeAthlete 55
Forerunner 165の前モデル
コメント
おれがジムで指導を受けたのは、バイクを一番重くして500m全力40秒レスト5本のインタバルでした。一本目は750W⇒490Wで34秒、5本目になると350Wも出なくなって45秒くらいになります。3本目くらいから1秒が辛くなる。(なお競輪学校の合格基準は1㎞70秒)
こういうすべて無酸素運動のショートインタバルは、持久運動に役立つのでしょうか?
なお、バイクで測ったVO2MAXは85㎏で54,VO2MAX Powerが300Wでした。
gkさん
バイクは一度も乗ったことがありませんが、想像しただけで、めちゃくちゃしんどそうなトレーニングですね!
勉強になります。
トレーナーさんがおっしゃることですので、効果はあるはずです。
ショートインターバルはVO2 MAXはもちろん、メンタルも鍛えられそうですね。
僕は毎本、しっかりと運動強度を保ちたいので、長過ぎるくらい休憩を取って取り組んでいます。