ランナーなら一度は「乳酸」や「閾値」という言葉を聞いたことがあるはず。
「35km過ぎで、乳酸地獄で死んだ」
「タイムを上げるには閾値走がいいらしい」
よくランナー同士の会話で出てきますが、改めて説明を求められると難しいものです。
しかし「乳酸」「閾値」を知ることで、トレーニングを効率化できるので、知っておいて損はありません。
乳酸閾値の基本から高めるための「閾値走」についてまとめます。
2024年1月にプーマが発売した「SOFTRIDE EASE IN(ソフトライド イーズイン)」。マラソン後のリカバリーシューズに良さそうだったので、ランナーのみなさんに共有します^^
乳酸(性)閾値とは
「乳酸は疲労物質」と思われている方が多いと思います。僕もそう思っていました。
確かに乳酸が体内に蓄積されると身体の運動はストップしてしまいますが、乳酸=悪というのは少し前までの感覚のようです。
乳酸とはグリコーゲンを分解したときにできるもの
人は運動をするとき、
- 有酸素運動ではグリコーゲン(糖)と脂肪をエネルギー源に
- 無酸素運動では主にグリコーゲン(糖)だけをエネルギー源に
します。
乳酸はグリコーゲンを(糖)を分解したときに体内に作られる物質です。
有酸素運動(強度が低い)のうちは乳酸は代謝されるので体内に蓄積されることはありません。
しかし無酸素運動、つまり運動の強度が高くなると、糖がメインのエネルギー源になるので乳酸がいっきに増え、代謝が追いつかなくなることで体内に乳酸が蓄積されるようになります。
乳酸から分解された水素イオンは筋肉細胞の周りを酸性化し続けます。一定以上酸化が進むと、体内の保護メカニズムが発動して、筋肉は脳の命令(身体を動かす)を受け付けなくなります。これが「乳酸が蓄積されて運動がストップしてしまう」しくみです。
この血液(体内)中の乳酸の濃度が急に上がり始めるポイントが乳酸閾値(LT)と言われます。
ランニングの場合、乳酸閾値はペース(時間)や心拍数で表されます。
「あなたの閾値ペースは4:30/km、心拍数は170です」のようにです。
乳酸は再合成されてエネルギーになることがわかってきた
これまで乳酸は「疲労物質」とみなされて、あまりいいイメージがありませんでした。
しかし最近の研究では乳酸は肝臓のグリコーゲンに再合成されて再びエネルギー源になることがわかっています。
つまり適切な乳酸の量であれば、悪ではなく、むしろメリットになるのです。
乳酸を処理できるキャパを上げることが大切
LTは一定ではなく、トレーニングによって上げることができます。
乳酸を処理する能力を高めることで乳酸が体内に蓄積され始めるレベルが上がります。
するとより長く、速いスピードで運動できるようになります。
ということで、LTを上げることが重要視されるようになっています。
乳酸閾値(LT)値を知るメリット
LTを知るメリットで一番大きいのは、この後で説明する「閾値走」を取り入れることができるようになることです。
また、LT以下で走ればグリコーゲンではなく脂肪をエネルギーにできるので、「糖を使わずにいかに長く走るか」が重要になるフルマラソンや、ダイエットをしたい人にも有効です。
またLTは、VO2 MAXなどと並んで自分の成長を確かめる指標にもなります。
Garminで乳酸閾値(LT)を測定する方法
実はランナー向けのGarminすべての機種でLTを測れるわけではありません。
Garminを使わずに乳酸閾値を測定する方法
一番の理想は乳酸カーブテストを受けられる施設で測定することです。
しかし「研究所」的な場所でしか測定できないので、市民ランナーが気軽に利用できるようなものではありません。
そこで、よく提案されているのが
- 60分走を実際に走る(ペース)
- 数式で求める(心拍)
といった方法です。
LTは20〜30分「60分継続できるペース」「10キロ~ハーフマラソン間のレースペース」に相当すると定義されるので、実際にその距離を走ることで、ざっくりわかります。
以下、ご指摘をいただきました。- 30分継続可能な平均速度はCritical velocity(CV)
– Garminで測定できる閾値は「LT2/VT2」で、60分継続可能な平均速度
一方、計算式でLTの心拍数を求めることもできます。
※最大心拍数は「220 – 年齢」または「208 – 0.7×年齢」で求められます。
乳酸閾値を測定できるHUAWEI WATCH GT Runnerを購入
2023年6月、乳酸閾値を測定できるHUAWEI WATCH GT Runnerを購入しました。
執筆時点では約2万円で購入できます。
ForeAthlete 245と徹底比較しています。普通にGarminから乗り換えられる水準に来ています。
閾値走(閾値トレーニング)の方法
LTが分かれば閾値走に取り組むことができます。
閾値走はLTペースで走ることでLTを上げることを目的としたトレーニングです。
閾値走としてよく取り上げられるのが
- テンポ走
- クルーズインターバル
です。
テンポ走
LTペースで20分〜60分走るトレーニングです。
LTペースと時間は必ず守ることが大切です。ペースや時間を無視してしまうと、全く別の趣旨のトレーニングになってしまいます。
クルーズインターバル
LTペースで3〜15分のインターバルを、3〜10本行います。
例えば1,000m×5本をLTペースで走るようなトレーニングです。
クルーズインターバルをする際のリカバリータイムは、インターバルで走る時間の20〜25%です。
例えば1,000mを4分で走る場合は、240秒×0.2=48秒となります。
クルーズインターバルもペース、本数、リカバリータイムをしっかり守ることが重要。
ついつい追い込んでしまうかもしれませんが、トレーニングの目的を再認識しましょう。
HAGIRUNちゃんねるさんの動画が、とても参考になりました。
▼合わせて参考にして欲しい記事
それぞれの目標に向けて、一緒にがんばりましょう!
僕はラン歴10年、PBは2時間56分16秒の市民ランナーです。
コロナ禍を乗り越え、遂にレースが帰ってきました!それぞれの目標を達成できるように、いっしょにがんばりましょう^^
\VO2 Maxが測れるランナー向けGarmin/
出典:https://www.garmin.co.jp/- Forerunner 965(2023年4月発売)
有機ELに対応した最上位モデル - Forerunner 955(2022年6月発売)
Forerunner 965の前モデル - ForeAthlete 745
決済・音楽保存機能があるランナー最上位モデル - Forerunner 265(2023年3月発売)
上級者まで対応できるスタンダードモデル。有機EL対応! - Forerunner 255(2022年6月発売)
Forerunner 265の前モデル - Forerunner 165
有機EL・タッチスクリーンに対応したエントリーモデル - ForeAthlete 55
Forerunner 165の前モデル
コメント
30分継続可能な平均速度はCritical velocity(CV)です。
LT2/VT2は60分継続可能な平均速度です。Garminの閾値はこれに相当します。
LT1/VT1はもっと低い強度でLT1なら血中乳酸濃度が2mmol程度です。
めちゃ参考になります!
もっと勉強します、ありがとうございますm(_ _)m