フリーランスにとって「帳簿付け」は避けられない大切なお仕事。
先人が獲得してくれた「申告納税」の権利をしっかり使わせてもらうために、日々の営みは正しく記録したいですね。
僕は2020年開業当初、1年間は無料で使えるということで「やよいの青色申告 オンライン」を使いました。
大きな不満はなかったのですが、1回目の確定申告を終えたタイミングで、「Money Forward(マネーフォワード)クラウド」に乗り換えました。
でも、マネーフォワードの試用期間ギリギリのところで、やっぱり乗り換えるのをやめました。
今回は僕のようなライトな?個人事業主に向けて、やよいからマネーフォワードへの乗り換えの手順や、両方のサービスを使って感じたことなどを共有します。
会計ソフトの比較記事ってバリバリな案件ばかりなんで、そんなのばかりに疲れてしまった人は、ごゆるりと見ていってください(この記事もそうですけどね)。
やよいからマネーフォワードへの乗り換え手順
最初に「やよい」→「マネーフォワード」の乗り換え手順をお伝えします。
- マネーフォワードに登録(1ヶ月無料)
- マネーフォワードのアカウント作成(orログイン)
- マネーフォワードの初期設定もろもろ
- やよいからデータをエクスポート&加工→インポート
ざっくり、以上のような感じです。
ただ、僕は乗り換えようとしたタイミングが3月で、やよいに登録していた当年度の仕訳が20くらいしかなかったので、すべて手動でデータを移しました。
① マネーフォワードに登録(1ヶ月無料)
マネーフォワード公式サイトにアクセスして、新規登録します。
マネーフォワードのプラン「パーソナルミニ」と「パーソナル」は、どちらも1ヶ月間は無料で使えます。とりあえず「パーソナル」を選んでおけばOK。
② マネーフォワードのアカウント作成
画面に従って初期登録をしていきます。
最初にマネーフォワードのアカウントの作成があるのですが、ここでうれしすぎる誤算がありました。
マネーフォワードって、事業用のサービスとは別に「マネーフォワード ME」という、個人の家計簿サービスもあるんですよね。こっちの方が先に始まったサービスで、個人の資産管理に使ってる人も多いと思います。
そして、そのアカウントは「マネーフォワードクラウド」のアカウントと共通なのです。
つまり、これまで「ME」で登録してた銀行口座やクレジットカードを、そのまま引き継ぐことができます!これで、登録の手間がかなり減りました。
マネーフォワードMEをすでに使っていて、面倒なのがイヤだという人は、これだけでマネーフォワードを選ぶ価値はあると思います。
③ マネーフォワードの初期設定もろもろ
事業者名や業種、申告の種類(青色or白色)、免税事業者かどうか、などの初期設定をします。
これも画面に従ってやってくだけなんで、難しくありません。
④ やよいからデータをエクスポート&加工
僕は今回、この手順は踏みませんでした。そもそも、今年度の登録している仕訳が少なかったからです。
しかし、やよいで
- がっつり勘定科目をカスタマイズしてる
- 年度の途中で、すでにけっこうな仕訳を登録してる
という場合は、やよいからデータをエクスポートして、マネーフォワードにインポートするのが良さそう。
と、素人目では思いますが、そのとおり「完全に素人」です。そんな簡単にはいきません。
まず、マネーフォワードのインポート機能には「弥生会計」からの取り込みメニューはありますが「やよいの青色申告」からの項目がありません↓↓
一方、やよいの青色申告オンラインでエクスポートできるのは「期首残高」と「取引データ」のみで、「勘定科目」はないみたい。
しかもエクスポートできるのは「弥生インポート形式」という.txtファイルで、これは直接、マネーフォワードには取り込めません。
一応、
- .txtファイルをcsvファイルに加工
- マネーフォワードで「インポート用のファイル」をダウンロードしてコピペ
- マネーフォワードの「弥生会計からインポート」データをインポート
という手順で、仕訳のインポートはできなくはないみたいです。
以下の記事で詳しく解説されていたので、すでにたくさん仕訳を登録している人は、参考にしてみてください(けっこう古めな記事なので、最新の情報はご自身で調べてみてくださいね)。

やよい vs マネーフォワード丨スペック・料金比較
「やよいの青色申告オンライン」と「マネーフォワードクラウド」。できることや料金を比較しておきましょう(個人事業主向けサービスの比較です)。
やよいの青色申告 オンライン ![]() (セルフプラン) |
マネーフォワード クラウド ![]() (パーソナル) |
|
---|---|---|
確定申告書作成 | ◯ | ◯ |
銀行・クレジットカード 明細の自動取り込み |
◯ | ◯ |
取引・残高、 損益、貸借レポート |
◯ | ◯ |
見積・請求・ 納品・領収書の作成 |
別サービス (Misoca) |
◯ |
その他 | ー | 経費・給与・社会保険・ 勤怠・マイナンバー |
無料期間 | 1年 | 1ヶ月 |
クレジットカードや銀行口座の自動取り込み設定ができることや、残高、損益、貸借レポートが見られることなど、基本的な機能はおなじ。
そもそもの枠組みとして、一番違うのが「請求書の発行サービスがセットになっているかどうか」という点です。
「やよいの青色申告オンライン」は、確定申告書の作成に特化したサービスです。同じく弥生がMisoca(ミソカ)という請求書作成サービスもやってますが、これは別料金です(無料プランもあります)。
対して、「マネーフォワードクラウド」は「青色申告書の作成から請求書などの発行、経費・給与・社保・勤怠・マイナンバー管理」がワンパッケージになったサービスです。
(ホームページではそのことがわかりにくかったので、サポートに聞きました。)
マネーフォワード クラウドの有料プランは、確定申告や請求書、給与などの各サービスがセットになったプランです。
そのため、ご希望のパーソナルプランでは、確定申告と請求書がパーソナルプランの価格で(追加料金なく)ご利用いただけます。
完全に個人で仕事をしているなら給与や社保管理などのサービスはいらないですが、請求書の作成は追加料金なしで利用できるので、安心してください。
料金比較
やよい、マネーフォワードともに3種類のプランがあります。
▼やよいの青色申告オンラインの料金プラン
- セルフプラン…8,800円(1年無料)
- ベーシックプラン…13,200円
- トータルプラン…22,000円
▼マネーフォワードクラウドの料金プラン
- パーソナルミニ…10,560円
- パーソナル…12,936円(1ヶ月無料)
- パーソナルプラス…39,336円
やよいのトータルプラン、マネーフォワードのパーソナルプラスは電話サポート、業務相談が受けられるプラン。なので、最低限の簿記知識がある個人なら、そこまではいらないかな。
ちなみに、やよいの請求書発行サービス「Misoca」の料金は以下のとおり。
▼Misocaの料金プラン
- 無料プラン…5通/月までなら無料
- プラン15…15通/月まで 8,800円/年
- プラン100…100通/月まで33,000円/年
やよいもMisocaも使うなら、それぞれの料金の支払いが必要です。
やよいなら「セルフ」で十分(僕の場合)
弥生の青色申告オンラインの「セルフプラン」と「ベーシックプラン」の大きな違いは、操作のサポートを受けられるかどうか。
少しでも簿記の知識があったり、自分でググれるなら、セルフプランでOK。
また、月の請求書の発行が5通以下ならMisocaの無料プランが使えます。
マネーフォワードは「パーソナルミニ」と「パーソナル」でけっこう違う
一方で、マネーフォワードクラウドの「パーソナルミニ」と「パーソナル」は、けっこう違う部分があります。
- パーソナルミニには「消費税集計機能」「口座残高照会・帳簿残高との突合」機能がない
- パーソナルミニで見られるレポートは「キャッシュフロー」のみ
- パーソナルミニでは請求書作成の「毎月自動作成」「回収消込」「郵送、メール送信等の一括操作」ができない
といったあたりが違ってきます。
2023年10月からはインボイス制度が始まるので、消費税集計とかが必要になってくる個人の方もいると思います。
必要ない可能性もありますが、年額2,400円程度の差額なら「パーソナル」を選んでおいていいのかな、と思います。
やよい「セルフ」かマネフォ「パーソナル」か→請求書を5件発行するか
やよいの「セルフプラン+Misoca」とマネーフォワードの「パーソナル」を比較すると、
- セルフプラン…8,800円+Misocaの料金(0円/8,800円/33,000円)
- パーソナル…12,936円
Misocaの無料プラン(月に5件までの請求書作成)でいけるなら、やよい+Misocaの方が4,000円くらい安くなります。
一方で、請求書を5件以上発送するならマネーフォワードの方が4,000円以上安くなります。
マネーフォワードの方がいいと感じたところ
以下、個人的主観になりますが、「やよいの青色申告オンライン」を1年間使った僕が、その後に「マネーフォワードクラウド確定申告」を使ってみて「おおお!ええやんか」と思ったことを挙げてみます。
- UIはマネーフォワードの方が洗練されてて好み
- マネーフォワードの方がサクサク動くような気がする
- マネーフォワードMEの口座連携をそのまま引き継げる
個人的に使っていてストレスが少ないのはマネーフォワードでした。
僕はM1Mac+Chromeという環境で使ってますが、マネーフォワードの方がサクサク作業できるように感じます。
先にも述べましたが、「マネーフォワードME」の口座連携をそのまま引き継げるのもグッド。
全体的にUIはマネーフォワードの方が洗練されてて操作感が◯
以下、好みの部分もありますが…。
例えば仕訳入力の画面。マネーフォワードの方が洗練されているように感じました。
▼マネーフォワードの「振替伝票」入力画面
▼やよいの「仕訳の入力」画面
なんだろう、一言で表すと「令和vs平成」みたいな?
入力した仕訳内容もマネーフォワードは色付きでわかりやすい。やよいは無機質な感じ。
▼マネーフォワードの「振替伝票」の仕訳一覧
▼やよいの「仕訳の入力」画面の仕訳一覧
やよいからマネーフォワードへ、乗り換えのベストタイミングは?
個人的に考えるベストタイミングは、正に僕が今回乗り換えたタイミングだと考えます。
つまり、乗り換えるなら「個人事業主としての最初の確定申告を終えた直後」がベストだと考えます。
その理由は、
- やよいの青色申告オンラインの「セルフプラン」は1年間無料で使えるから、とりあえず確定申告ソフトがどんなものなのか(自分に必要なものなのか)知るのに最適
- 2年目だったら、どっぷりやよいに慣れているわけでもないので、比較的乗り換えのハードルが低い
やよいの青色申告オンラインは、とにもかくにも1年無料で使えることが大きいです。
1年使ってみて、確定申告ソフトとはどんなものか、ということが理解できたら、やよいをそのまま使い続けるか、マネーフォワードクラウドに乗り換えるか判断すればいいと思います。
まとめ:それでも僕は、やよいで生きていくことにした
なんですが、冒頭でも言ったとおり、僕は「やよいの青色申告オンライン」を使い続けることにしました。
確かに「マネーフォワードクラウド確定申告」の方がサクサク動くし、UIもきれいだし、使っていて気持ちがいいし…。
でも、そもそもの青色申告ソフトの目的に立ち返ったとき「そこって重要?」という思いになりました。
そりゃ、UIも使い心地もいいに越したことはないけど、抜け漏れなく経理が記録できるなら、それで十分なわけでして。
- 月に1回しかソフトを立ち上げない
- 請求書の発行も5通で収まる(超えたらSpreadsheet使えばいいし)
というような僕のような人には、料金が4,000円安く使える「やよい+Misoca」でいいかな〜、と判断しました。
以下、個人的なまとめ!参考にしてもらえるとうれしいです!
- 安く使いたいならやよいの「セルフプラン」+Misoca「無料プラン」=8,800円
- 確定申告ソフト以外も使いたい・月に5通以上の請求書を発行する・マネーフォワードMEとの連携を重視するならマネーフォワード「パーソナルプラン」=12,936円
コメント
便利だからあれがいい!これがいいからこれおすすめ!というブログ記事が多い中、「それって事業に本当に必要?」と原点に立ち返れる良記事でした。ありがとうございます。
わわわーー!
とてもうれしいコメント、ありがとうございます。
そうですね、事業、プライベート関わらず、購入前に少しだけ立ち止まって考えることは大切ですね。
少しでも参考になったのでしたら、幸いです^^