僕はフリーランスで執筆・編集業をしています。
2020年の開業当初、1年間は無料で使えるということで、会計ソフトに「やよいの青色申告 オンライン」を選びました。
大きな不満はなかったのですが、1回目の確定申告を終えたタイミングで、「Money Forward(マネーフォワード)クラウド」に乗り換えました。
でもタイトルのとおり、マネーフォワードの試用期間ギリギリのところで、やっぱり乗り換えるのをやめました。
今回は僕のようなライトな?個人事業主に向けて、やよいからマネーフォワードへの乗り換えの手順や、両方のサービスを使って感じたことなどを共有します。
やよいからマネーフォワードへの乗り換え手順
最初に「やよい」→「マネーフォワード」の乗り換え手順をざっくりお伝えします。
- マネーフォワードに登録(1ヶ月無料)
- マネーフォワードのアカウント作成(orログイン)
- マネーフォワードの初期設定もろもろ
- やよいからデータをエクスポート&加工→インポート
① マネーフォワードに登録(1ヶ月無料)
マネーフォワード公式サイトにアクセスして、新規登録します。
2023年現在、1ヶ月の無料トライアルがあり、パーソナルプラン(月額1,280円)相当の機能をお試しで利用できます。
② マネーフォワードのアカウント作成
画面に従って初期登録をしていきます。
最初にマネーフォワードのアカウントの作成があるのですが、ここでうれしすぎる誤算がありました。
マネーフォワードには事業用のサービスの他に、「マネーフォワード ME」という個人の家計簿サービスがあります(多分、こっちのほうが有名)。
そして、そのアカウントは「マネーフォワードクラウド」のアカウントと共通です。
つまり、これまで「ME」で登録してた銀行口座やクレジットカードを、そのまま引き継ぐことができます!
なんやかんやで事業主借(個人の財布からの立替え)って発生するんで、これは助かりますね。
MEをすでに使っているなら、これだけでマネーフォワードを選ぶ価値はあると思います。
③ マネーフォワードの初期設定もろもろ
事業者名や業種、申告の種類(青色or白色)、免税事業者かどうか、などの初期設定をします。
これも画面に従ってやってくだけなんで、難しくありません。
④ やよいからデータをエクスポート&加工
僕は今回、この手順4は踏みませんでした。
当年度に登録している仕訳が少なかったので、全て手作業で再入力しました。
しかし、
- やよいでがっつり勘定科目をカスタマイズしてる
- 年度の途中で、すでにけっこうな仕訳を登録してる
なら、やよいからデータをエクスポートして、マネーフォワードにインポートするのが良さそうです。
……と、素人は思いますが、そんな簡単にはいきません。
まず、マネーフォワードのインポート機能には「弥生会計」からの取り込みメニューはありますが「やよいの青色申告」からの項目がありませんでした(2021年3月時点)。
一方、やよいの青色申告オンラインでエクスポートできるのは「期首残高」と「取引データ」のみで、「勘定科目」はないみたいです。
しかもエクスポートできるのは「弥生インポート形式」という.txtファイルで、これは直接、マネーフォワードには取り込めません。
一応、
- .txtファイルをcsvファイルに加工
- マネーフォワードで「インポート用のファイル」をダウンロードしてコピペ
- マネーフォワードの「弥生会計からインポート」データをインポート
という手順で、仕訳のインポートはできなくはないみたいです。
以下の記事で詳しく解説されていたので、すでにたくさん仕訳を登録している人は、参考にしてみてください(けっこう古めな記事なので、最新の情報はご自身で調べてみてくださいね)。
やよい vs マネーフォワード丨スペック・料金比較
「やよいの青色申告オンライン」と「マネーフォワードクラウド」。できることや料金を比較しておきましょう(個人事業主向けサービスの比較です)。
やよいの青色申告 オンライン (セルフプラン) | マネーフォワード クラウド (パーソナル) | |
---|---|---|
確定申告書作成 | ◯ | ◯ |
銀行・クレジットカード 明細の自動取り込み | ◯ | ◯ |
取引・残高、 損益、貸借レポート | ◯ | ◯ |
見積・請求・ 納品・領収書の作成 | 別サービス (Misoca) | ◯ |
スマホアプリ | ◯ | ◯ |
その他 | ー | 経費・給与・社会保険・ 勤怠・マイナンバー |
無料期間 | 1年 | 1ヶ月 |
クレジットカードや銀行口座の自動取り込み設定ができることや、残高・損益・貸借レポートが見られることなど、基本的な機能はおなじ。
そもそもの枠組みとして違うのが「請求書の発行サービスがセットになっているかどうか」です。
「やよいの青色申告オンライン」は、確定申告書の作成に特化したサービスです。同じく弥生がMisoca(みそか)という請求書作成サービスもやってますが、これは別料金です(最低限の利用なら無料プランの範囲で使えます)。
対して、「マネーフォワードクラウド」は「青色申告書の作成から請求書などの発行、経費・給与・社保・勤怠・マイナンバー管理」がワンパッケージになったサービスです。
(ホームページではそのことがわかりにくかったので、サポートに聞きました。)
マネーフォワード クラウドの有料プランは、確定申告や請求書、給与などの各サービスがセットになったプランです。
そのため、ご希望のパーソナルプランでは、確定申告と請求書がパーソナルプランの価格で(追加料金なく)ご利用いただけます。
個人ひとりで仕事をしているなら、給与や社保管理などのサービスはいらないですが、請求書の作成は追加料金なしで利用できるので、安心してください。
料金比較
やよい、マネーフォワードともに3種類のプランがあります。
やよいの「トータルプラン」、マネーフォワードの「パーソナルプラス」は、電話サポート、業務相談が受けられるプラン。
最低限の簿記知識がある個人なら、そこまではいらないかと。
ちなみに、やよいの請求書発行サービスMisoca(みそか)の料金は以下のとおり。やよいもMisocaも使うなら、それぞれの料金の支払いが必要です。
やよいなら「セルフ」で十分(僕の場合)
弥生の青色申告オンラインの「セルフプラン」と「ベーシックプラン」の大きな違いは、操作のサポートを受けられるかどうか。
少しでも簿記の知識があったり、自分でググれるなら、セルフプランでOK。
また、月の請求書の発行が10通以下ならMisocaの無料プランが使えます。
マネーフォワードは「パーソナルミニ」と「パーソナル」でけっこう違う
一方で、マネーフォワードクラウドの「パーソナルミニ」と「パーソナル」は、けっこう違う部分があります。
- パーソナルミニには「消費税集計」「消費税申告書の作成」「口座残高照会・帳簿残高との突合」機能がない
- パーソナルミニで見られるレポートは「キャッシュフロー」のみ
- パーソナルミニでは請求書作成の「毎月自動作成」「回収消込」「郵送、メール送信等の一括操作」ができない
といったあたりが違ってきます。
2023年10月からはインボイス制度が始まるので、消費税集計が必要になってくる個人の方もいると思います。
必要ない可能性もありますが、年額2,400円程度の差額なら「パーソナル」を選んでおいていいのかな、と思います。
やよい「セルフ」かマネフォ「パーソナル」か→請求書を5件発行するか
やよいの「セルフプラン+Misoca」とマネーフォワードの「パーソナル」を比較すると、
- セルフプラン…9,680円+Misocaの料金(0円/8,800円/33,000円)
- パーソナル…12,936円
Misocaの無料プラン(月に5件までの請求書作成)でいけるなら、やよい+Misocaの方が3,000円くらい安くなります。
一方で、請求書を5件以上発送するならマネーフォワードの方が5,500円以上安くなります。
マネーフォワードの方がいいと感じたところ
以下、個人的な主観になりますが、「やよいの青色申告オンライン」を1年間使った僕が、その後に「マネーフォワードクラウド確定申告」を使ってみて「おおお!ええやんか」と思ったことを挙げてみます。
- UIはマネーフォワードの方が洗練されてて好み
- マネーフォワードの方がサクサク動くような気がする
- マネーフォワードMEの口座連携をそのまま引き継げる
個人的に使っていてストレスが少ないのはマネーフォワードでした。
僕はM1Mac+Chromeという環境で使ってますが、マネーフォワードの方がサクサク作業できるように感じます。
全体的にUIはマネーフォワードの方が洗練されてて操作感が◯
以下、好みの部分もありますが…。
例えば仕訳入力の画面。マネーフォワードの方が洗練されているように感じました。
▼マネーフォワードの「振替伝票」入力画面
▼やよいの「仕訳の入力」画面
なんだろう、一言で表すと「令和vs平成」みたいな?
入力した仕訳内容もマネーフォワードは色付きでわかりやすい。やよいは無機質な感じ。
▼マネーフォワードの「振替伝票」の仕訳一覧
▼やよいの「仕訳の入力」画面の仕訳一覧
やよいからマネーフォワードへ、乗り換えのベストタイミングは?
個人的に考えるベストタイミングは、正に僕が今回乗り換えたタイミングだと考えます。
つまり、乗り換えるなら「個人事業主としての最初の確定申告を終えた直後」がベストだと考えます。
その理由は、
- やよいの青色申告オンラインの「セルフプラン」は1年間無料で使えるから、とりあえず確定申告ソフトがどんなものなのか(自分に必要なものなのか)知るのに最適
- 2年目だったら、どっぷりやよいに慣れているわけでもないので、比較的乗り換えのハードルが低い
やよいの青色申告オンラインは、とにかく1年無料で使えます。
1年使ってみて、確定申告ソフトとはどんなものか、ということが理解できたら、やよいをそのまま使い続けるか、マネーフォワードクラウドに乗り換えるか判断すればいいと思います。
まとめ:それでも僕は、やよいで生きていくことにした
なんですが、冒頭でも言ったとおり、僕は「やよいの青色申告オンライン」を使い続けることにしました。
確かに「マネーフォワードクラウド確定申告」の方がサクサク動くし、UIもきれいだし、使っていて気持ちがいいし…。
でも、そもそもの青色申告ソフトの目的に立ち返ったとき「そこって重要?」という思いになりました。
そりゃ、UIも使い心地もいいに越したことはないけど、抜け漏れなく経理が記録できるなら、それで十分なわけでして。
- 月に1回しかソフトを立ち上げない
- 請求書の発行も10通で収まる(収まらなければ、ネットで適当なテンプレを拾ってコレば良い)
というような僕のような人には、料金が3,000円安く使える「やよい+Misoca」でいいかな〜、と判断しました。
以下、個人的なまとめ!参考にしてもらえるとうれしいです!
◎この記事のまとめ
- 安く使いたいならやよいの「セルフプラン」+Misoca「無料プラン」=9,680円
- 確定申告ソフト以外も使いたい・月に11通以上の請求書を発行する・マネーフォワードMEとの連携を重視するならマネーフォワード「パーソナルプラン」=12,936円
▼合わせて参考にして欲しい記事
コメント
便利だからあれがいい!これがいいからこれおすすめ!というブログ記事が多い中、「それって事業に本当に必要?」と原点に立ち返れる良記事でした。ありがとうございます。
わわわーー!
とてもうれしいコメント、ありがとうございます。
そうですね、事業、プライベート関わらず、購入前に少しだけ立ち止まって考えることは大切ですね。
少しでも参考になったのでしたら、幸いです^^