僕は一切ゲームをしませんが、マルチポイントイヤホンに関する口コミを定点観測していると「ゲームと通話(ボイスチャット)を別デバイスで同時にやりたい」というニーズがあることに気づきます。
一般的なマルチポイント対応モデルは「同時利用」ができません。
しかしAnkerのSoundcore VR P10は、2.4GHzのワイヤレス接続×Bluetooth接続によって、そのニーズを叶えてくれます。
ノンゲーマーがマルチポイント的な使い方を検証するために、購入してみました。
◎この記事の結論
ドングルを使った接続はBluetoothよりも快適。遅延の少なさは動画編集ができるレベル。Bluetoothとのマルチポイント的な使い方も問題なし。
ノンゲーマーがマルチポイントのためだけに購入するのは割高だが、動画編集、映画・動画鑑賞用として持っておいて損なし。
新しいイヤホンと合わせて、ぜひ!
無料で試してみる!
Anker Soundcore VR P10 のスペック
タイプ | カナル型 | ANC | ー |
---|---|---|---|
カラー | ・ホワイト | 外部音取込 | ー |
重量 | ・片耳 5g ・ケース込 63g | 装着検出 | ー |
連続再生 | ・単体: ドングル 6時間 Bluetooth 5.5時間 ・ケース込: ドングル 24時間 Bluetooth 22時間 | 片耳 | ◯ |
充電時間 | 記載なし (10分で1時間の再生) | ワイヤレス 充電 | ー |
充電コネクタ | USB タイプC | 専用アプリ | ◯ |
防水 | IPX4 | 低遅延 | 30ms |
対応 コーデック | SBC / AAC / LC3(ドングル接続時) | 価格 | 14,990円 (Amazon) |
Bluetooth | 5.2 | その他機能 | ・ドングル&Bluetoothによる 同時接続 ・パススルー充電 |
Soundcore VR P10はAnkerが2022年10月に発売した、世界で初めてMeta社に認定された「Meta Quest 2」対応のゲーミングイヤホンです。
スペックシートからわかる長短メリデメは以下。
- 長所
ドングル接続可、LC3コーデック、30ms(0.03秒)の超低遅延 - 短所
ANC・外部音取り込み・装着検出・ワイヤレス充電なし
Soundcore VR P10 実機レビュー
初めてのゲーミングイヤホンはめちゃ新鮮。
ケース前面には特徴的なランプ。
裏側にはペアリングボタンが配置。
開けると……光った!
こういう光る系のギミックに特別な興味があるわけではない僕も、さすがにテンションが上がります。
イヤホン本体のスティック部分の長さは約3.3mm。AirPods Proとほぼ同じ大きさです。
形状はAnkerの人気フラッグシップ「Soundcore Liberty 4」と似ています(実機を比べたわけではありません)。
イヤーチップはごく普通のシリコンタイプのもので、イヤホン口は円形です。
装着感
個人的にはすごく相性が良かったです。
スティック型で装着しやすく、バツグンに収まりが良いです。
長時間つけても痛くならなかったので、耳が小さめな方にもフィットしそうです。
遮音性もそこそこ高いです。この機種にはアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能はありません。遮音性を重視するならイヤーチップをフォームタイプ(スポンジみたいなやつ)に変えて使っても良いでしょう。
操作性
「d」のマーク辺りがセンサーになっています。感度は良好で、検証の中で誤タップすることはありませんでした。
デフォルトでは以下の操作が割り当てられています。
左 | 操作 | 右 |
---|---|---|
・音量ダウン | 1タップ | ・音量アップ |
・曲送り ・受話 | 2タップ | ・再生/一時停止 ・受話 |
・ボイスアシスタント ・着信拒否(Bluetooth接続時) ・終話 | 2秒長押し | ・ボイスアシスタント ・着信拒否(Bluetooth接続時) ・終話 |
※曲戻しはアプリで割り当てられます。
端末単体でのペアリングモードへの移行や電源のオン・オフはできません。
またアプリでは以下のモードへの移行を割り当てられます。
- スーパーヒアリングモード
FPSゲームに適しており、銃声や足音を強化 - マイクモード(ミュートオン/オフ)
バッテリー持続時間
公称値は以下のとおり。
- 単体:ドングル 6時間、Bluetooth 5.5時間
- ケース込:ドングル 24時間、Bluetooth 22時間
約1.5時間、ドングルとBluetoothの両方に接続した状態で音楽や動画を視聴した結果、ざっくり1/4くらい減りました。
公称のとおり利用できます。
アプリ
アプリの安定感は完璧(某社を眺めながら)。
- 本体のランプの設定
(点滅/点灯/消灯の切り替え、ランプの色の変更) - ドングル接続機器の切り替え
- イコライザ設定
- タッチ操作カスタマイズ
- スーパーヒアリング、マイクモード、ゲームをしながら通話のオンオフ
イコライザは、Ankerおなじみの、めちゃ種類が多いプリセットから選べます。もちろん、カスタマイズにも対応。
音質
ゲーミングイヤホンということで期待値が低かったものの、その予想を大きく超えるものでした。
- 一聴して解像感の高さを感じられる
- 主張しすぎない、上品な低音。バランスがよい
- 左右に広い音場
- 迫力<繊細なイメージ
マイクの音質は以下のとおり。
音量の段階
- iPhone:0〜16(端末操作では0〜16)
- Android:0〜15(端末操作では0〜26)
※Google Pixel 7
ドングル(2.4GHz)とBluetoothのマルチポイント接続
ここからが本題です。
Soundcore VR P10は専用のドングルを使うことで、2.4GHzのワイヤレスネットワークで接続できます。
2.4GHz接続には
- Bluetoothよりも遅延が少ない
- Bluetoothに対応していない機器でもワイヤレスイヤホンが使える
といった、メリットがあります。
VR P10はBluetoothのマルチポイントには対応していませんが、「ドングル+Bluetooth」を同時に接続できるため、マルチポイント”的”な使い方ができます。
ドングルはUSB Type-C接続できる端末であれば、Quest 2以外にもPCや他のゲーム機器、タブレット、Androidスマホなどと接続できます。
僕は今回、PC(MacBook Air)、Androidスマホ、iPad Proにドングルを接続して利用して、検証してみました。
※MacBook Airは2つある内の片方のType-Cポートを使っていると、ドングルを差し込むスペースがありません。
L字コネクタを使えば接続できそうです。
僕は外部ディスプレイの拡張ポートに接続しました。
ドングルを接続すると、効果音が鳴って、自動でイヤホンと接続されます。Bluetooth接続よりもスムーズにつながります。
MacBook Airの場合、出力先から「VR P10 Dongle」を選ぶことで、イヤホンから音声が聞こえるようになります。
ドングル接続の遅延は30ms。動画編集できるレベル
VR P10はドングルを使うことで30ms (0.03秒)まで遅延を抑えられます。
はやぽんログ!さんの記事を参照すると、人間は100ms以上の遅延があると違和感を感じるそうです。そのため、「低遅延」を謳うイヤホンは、この100msを一つの基準にしています。
2023年4月現在、VR P10のドングル接続時の数値は業界最良水準です。
- AirPods Pro(第2世代):126ms
- JBL Quantum TWS:50ms
- Soundcore VR P10:30ms(LC3コーデック)
VR P10のドングル接続は、次世代オーディオコーデック「LC3」にも対応しています。
僕はゲームをやらないので、Final Cut Proのタイムラインでカット作業をしてみました。結果、まったく違和感や遅延を感じずに編集を進められました。
これまで動画編集だけは有線イヤホンから逃れられませんでしたが、TWSで気軽に作業できたことに感動。
もちろん動画視聴、映画鑑賞も全く問題ありません(もちろん、個人差あります)。
一点、ドングル接続時は、Bluetoothや有線接続より音量が小さいです(健康的に視聴するには十分な音量が出ます)。
ドングル&Bluetooth接続時の挙動
ドングルとBluetoothでマルチポイント接続した際の挙動は以下のとおり。
操作 | 挙動 |
---|---|
ドングルとの接続 | ドングルを差し込むと自動で接続 |
イヤホン側からBluetooth ペアリングモードへ移行 | できない ・ケースに入れ、蓋を開けた状態で ケースのボタンを3秒間長押し ・接続中のデバイスを切断して3分くらい経つと、 自動で電源がオフになる |
2台同時にオーディオの再生 | できない 音楽を再生できるのは一度に1台の機器からのみ (Bluetooth接続機が優先される) |
Bluetooth(ドングル)接続機で 再生中に停止↔続けざまにもう片方を再生 | ・Bluetooth→ドングルで 1秒くらい再生が遅れることがある ・ドングル→Bluetoothはスムーズ |
Bluetooth接続機再生中に ドングル接続機を再生 | Bluetooth接続機の再生が優先され、 ドングルは再生は始まるが音は流れない |
ドングル接続機を再生中に Bluetooth接続機を再生 | Bluetooth接続機の再生が始まり優先され、 ドングルの再生は止まらないが無音になる。 →Bluetooth接続機の再生を停止すると、 ドングル接続機の音声が復帰 |
ドングル接続機で再生時に Bluetooth接続機が着信 | ・ドングル接続機の再生が出力されたまま、 Bluetooth接続機の着信音が鳴る ・ドングル接続機の再生が出力されたまま、 Bluetooth接続機で通話できる (例:ゲーム機をプレイしながら、 スマホで通話できる) |
Bluetooth接続機で再生中に ドングル接続機に通知 | Bluetooth接続機の再生は止まらず、 ドングル接続機の通知音は鳴らない ※アプリ、サービス、環境によって異なる |
BluetoothでA接続時に、 登録済み端末BのBluetooth設定から選択 | 上書き接続(オーバーライド接続)できない |
大前提としてドングルで音声を聴きながらBluetoothで通話はできますが、通話を除いて、ドングルとBluetoothで同時に音声を聴くことはできません。
Bluetoothのマルチポイントとの最も大きな違いは、
- ドングルで音声を再生しているときにBluetooth接続の端末で着信があっても、ドングルの音声が止まらず
- そのまま再生しながら通話ができる
ことです(ノンゲーマーの僕には、この仕様の活かし方が見つかりません……!)。
それ以外は普通にBluetoothマルチポイントと同じ感覚で利用できます。
- Bluetooth接続はスマホで固定
- ドングルは通常時はパソコンに接続しっぱなし
→たまにタブレット(iPad)に付けて動画を見る
みたいな使い方がしっくりきました。
また今後はAnkerからドングルが単体で販売される予定で、最大4つのドングルを接続した端末をアプリで切り替えられるようになるとのこと。
(アプリで切り替える手間を考えると、ドングルを差し替えた方が早いような気がします。)
ドングルはパススルー充電に対応
ドングルは充電しながら利用できる「パススルー充電」に対応しています。例えばiPadやAndroidにドングルを接続した状態で、充電できます。
ただし、データ通信には対応しておらず、
のような接続はできません。
ノンゲーマーが自宅用に買うのは「あり」な選択
ゲームをしない人間からすると「音声を聴きながら通話をする」という曲芸を披露する機会がなく、マルチポイント目的でSoundcore VR P10を選ぶ理由は限られています。
しかし現行のTWSでは最高水準の低遅延を実現しており、マルチポイント以外の部分に魅力があります。僕は今回の検証を通して「低遅延沼」にもハマりそうな予感がしています(笑)。
通所のBluetoothのマルチポイント対応イヤホンの中には、低遅延モードを搭載しつつも、マルチポイント接続時には効果を感じられないものもあります。
ここは「餅は餅屋」。ドングルが使えるSoundcore VR P10に一日の長があります。
- 基本的に自宅で使う(ANCや防水は不要)
- 映画鑑賞、動画編集を最高レベルの低遅延で楽しみたい
- マルチポイント接続は欲しいが、それほど頻繁に機器を切り替えることはない
という使い方であれば、ノンゲーマーにも十分おすすめできます。
できたら、Amazonのセールで狙いたいところ。2023年3月末には8,000円台で販売された実績があります。
▼関連記事
新しいイヤホンと合わせて、ぜひ!
無料で試してみる!
コメント