Audio Technica ATH-CKS30TW 実機レビュー。ANCないけど、めちゃ親切設計

ATH-CKS30TW gadget
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2022年10月に発売した、Audio Technicaのマルチポイント対応モデル「ATH-CKS30TW」。

23年2月、価格が1万円以下になったタイミングで、実際に購入して使ってみました。

マルチポイントの挙動を中心に、使い勝手を共有します。

==この記事の結論==

アクテイブ・ノイズキャンセリング機能は省かれているが、外部音取り込みやイコライザー、アプリなど、ユーザー目線の設計が素晴らしい使いやすさを重視したモデル。

マルチポイントの挙動も安定している。

◎後継モデル情報

CKS30TW+

  • 発売日:2024年6月20日
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ATH-CKS30TW のスペック

Audio Technica ATH-CKS30TW

タイプカナル型ANC
カラー・ブルーグレー
・ブラック
・ピンクベージュ
・ホワイト
外部音取込
重量・片耳 4.5g
・ケース込 37g
装着検出
連続再生・単体:7.5時間
・ケース込:20時間
片耳
充電時間・約3時間(ケース)
・約2.5時間(イヤホン)
ワイヤレス
充電
充電コネクタUSB タイプC専用アプリ
操作カスタマイズ
EQ設定
外音取り込みレベル調整
など
防水IP55低遅延
対応
コーデック
SBC / AAC価格9,755円
(Amazon)
Bluetooth5.1その他機能・最大64段階の音量調整
・会話に特化した「トークスルー」
・自分の声が聞きやすい「サイドトーン」
・Android「Fast Pair」
・電池残量の確認
・タッチセンサーの感度調整

Audio Technicaのマルチポイント対応モデルといえば、これまでは「ATH-CKS50TW」が鉄板でした。

しかしわりと筐体が大きく、人を選ぶイヤホンだったことは否めません。

ATH-CKS30TWは50TWをコンパクトにして、機能も絞った廉価モデルの位置づけ。

実機を利用する前に、スペックシートで感じたことをメモしておきました。

◎メリット

  • 防水・防じんがIP55と高め
  • 便利系機能がめちゃ多い

✕ デメリット

  • 急速充電の記載なし
  • コーデックはAAC止まり
  • ANCなし

ATH-CKS30TW 実機レビュー

今回購入したのはホワイト。

第一印象は「小さっ!」。TechnicsのEAH-AZ40を初めて手にしたときの感覚を思い出しました。

でもAirPods Proと並べると、そこまで変わりませんでした。

Audio Technica ATH-CKS30TW

ケース込みの重量は37.2g(実測)、AirPods Proは56.4g(実測)なんで、その差を体感できるくらいに軽いです。

本体の筐体はこんな感じ。

本体がくびれているのには理由があります(後述)。

イヤーピースは軸が硬めな印象です。

Audio Technica ATH-CKS30TW

装着感

外見は小ぶりに見えたのですが、実際に装着してみた収まりは、いたって普通でした。外すときは滑るので、慣れが必要かも。

Audio Technica ATH-CKS30TW

公式サイトによると、

耳穴の前にある出っ張り(耳珠)を避けて、イヤホンが自然に装着できる「トラガスホールドデザイン」により、高いホールド力をキープ

参照:ATH-CKS30TW|イヤホン|オーディオテクニカ

本体のくびれ部分は、トラガスを避けるためのものだったんですね。

 ATH-CKS30TW

確かにその効果があってか、初めて装着してから2時間くらい付けっぱなしでも、全く痛くなりませんでした(ふつう、初めてのイヤホンは1時間くらいで痛くなることが多いです)。

遮音性はほどほどで、めちゃ高い感じではありません。

で、僕はこのタイミングで、ようやく本機にアクテイブ・ノイズキャンセリング機能(ANC)が搭載されていないことに気づきました……。

ANCがないなら、もう少しがっつり遮音性を高めて欲しかった、というのが率直な感想。

操作性

センサーは「トンッ」と弾くようにタッチすると、成功しやすい感じ。

Audio Technica ATH-CKS30TW

最初は「あまり感度が良くないかな?」と感じましたが、アプリでセンサーの感度を3段階で調整できます。ただし感度を高くすると逆に誤タッチが増えそうなので、普通のままで良いと思います。

あと「タッチセンサーのロック」機能があります。

これはケースから取り出してしばらくの時間、操作ができないようにロックをかけるというもの。装着時に誤ってタップしてしまうことを防げます。

Audio Technicaさんは、とにかくこういう細かい機能が多くて、ほんまにユーザー目線でプロダクトを開発されていることが伝わってきます。

デフォの操作は以下のとおり。

操作
音量アップ
電話応答
1タップ再生/一時停止
電話応答
音量ダウン2タップ曲送り
通話(マイク)ミュート
音量ダウン3タップ曲戻し
イコライザーオン/オフ
着信時:着信拒否
発信時:発信中止
通話時:通話終了
2秒長押しトークスルーオン/オフ
着信時:着信拒否
発信時:発信中止
通話時:通話終了

この他にアプリによって

  • ヒアスルー
  • Siri、Googleアシスタントの起動
  • 低遅延モード
  • 電池残量の確認

を操作に割り当てることができます。

  • 僕が確認したときは、なぜか2秒長押しのカスタマイズしかできませんでした
  • iPhoneで操作をカスタマイズして、Androidのアプリと接続すると、カスタマイズした内容が消えてしまっていました

アプリ

アプリでできることはめちゃくちゃあるので、動画を参考にしてください。

個人的に良いな、と思ったのがイコライザー調整です。

オリジナルの調整はできませんが、5つのモードから選ぶことができます。で、それぞれのモードの特徴が説明されているのが、とてもわかりやすいです。

ATH-CKS30TW

ATH-CKS30TW

得てしてプリセットのイコライザーは「たくさん入ってるけど、素人では違いがよくわからん……」ということがあったりします。

ATH-CKS30TWのイコライザーは、5種類それぞれが特徴的で、違いがわりとハッキリしています。

外部音取り込み

ATH-CKS30TWには3種類の外部音取り込みに関わる機能があります。

  • ヒアスルー
  • トークスルー
  • サイドトーン

ヒアスルーはいわゆる普通の外部音取り込みです。アプリで強度を無段階で調整できます。最大にしたときのホワイトノイズは許容レベル。聞こえる周囲の音に人工感は少なく、自然な方です。

トークスルーを発動すると、外部音を取り込むのと同時に再生中のメディアの音量が下がります

ヒアスルーが常時発動させておくもので、トークスルーはスポットで使います。

個人的には屋外を移動するときはヒアスルー&小音量(もしくは片耳)で再生するので、トークスルーはあんまり使わないかも。

サイドトーンは通話時に自動で発動し、自分の声が聞きやすいように外部音を取り込んでくれる機能です。

サイドトーンはiPhoneのボイスメモでも発動しました。

音質

Audio Technicaのイヤホンは10年くらい前に有線を使って以来だったので、ほぼ初めてでした。

以下はイコライザーをオフにしたデフォの音を聴いての印象。

  • もっと低音がズンズン主張してくると想像してたけど、上品な感じ。確かに量は多いような気がする
  • 低音にマイルド感があって、ボーカルは聴きやすい。やはり男性ボーカルが楽しい
  • 高音も低音のおかげなのか、刺さらない
  • 音場は広いとは感じない

全体的にもっと、やんちゃな感じ?だと予想していたんですが、まったり、オールマイティに聴ける感じを受けました。

先述のとおりイコライザーはそれぞれ特徴がはっきりしていて、自分の好きな音は見つけやすいと思います。

あと、遅延は「遅延モード」がオフでもかなり少ない方だと感じました(ゲームはしていません。動画再生で確認)。

遅延モードをオンにした方が、遅延を感じたのは、謎。

マイク品質は以下のとおり。

ノイズキャンセリング機能は普通。バチッと騒音を除去してくれる感じではありませんが、ほどよく自然な声を維持してくれます。

音量の段階

  • iPhone:16段階(本体操作と同じ)
  • Android(Google Pixel 7):16段階(本体操作は23段階)

デフォルトは16段階ですが、アプリから32段階、64段階に変更できます。

ただし、32、64にしても、僕が聴く限り、最小&最大音量は変わりませんでした。

また、16、32、64の設定に関わらず、スマホのサイドキーの操作による段階は変更されません。

接続・マルチポイントの挙動

基本的にペアリングモードはすべてのデバイスとの接続を切断すると移行します。

しかし、説明書にはペアリングが解除できない、接続できない場合、強制的にペアリングモードにする【強制ペアリングモード】という方法が案内されています。

【強制ペアリングモード】
1. 左右両方のイヤホンを充電ケースへ入れ、5秒後に両方のタッチセンサーを4秒長押し
2. イヤホンのインジケーターがオレンジに点灯したらペアリングモードに移行している

また1台登録したあと、30秒間はペアリングモードが有効になっているらしく、一気に2台の登録ができます

デバイスと切断する度に「disconnected」とアナウンスされます。

マルチポイントの挙動は以下のとおり。

操作挙動
端末側からペアリングモードへ移行できない。以下いずれかの方法で
・すべてのデバイスとの接続を切断する
・上記の「強制ペアリングモード」
電源オン時の挙動前回、電源をオフにしたときに接続されていた
端末(最大2台)に自動で接続
A再生中に停止
→続けざまにBを再生
0.5秒くらいのディレイがあるが、スムーズな方
A再生時にBを再生Aの再生が停止してBの再生が始まる。優秀
(※ただし、説明書では「片方を停止してからでないと、
音楽は切り替わらない」と記載されている)
A再生時にBが着信Aの再生が停止してBが鳴動
→通話終了後、自動でAの再生が復帰
(※ただし、Bをマナーモードにしていると、
Aの再生は止まるがBの着信音が鳴らない)
A再生時にBが通知Aの再生は止まらず、Bの通知音は鳴らない
※アプリ、サービス、環境によって異なる
A・B接続時に、登録済み端末C
のBluetooth設定から選択
上書き接続(オーバーライド接続)不可
2枠目を空けて、3台目を接続する
マルチポイント接続時のコーデックAAC

マルチポイント接続の安定感は優秀な方ですが

  • オーバーライド接続できない
  • 他の端末で再生時に着信すると、マナーモードでは着信音が鳴らない

の2点は、残念ポイント。

後者について、再生が止まるので着信に気付ける可能性は高いですが、使い方によっては不便です。

ただし他の端末で再生していなければ、マナーモードであっても着信音は鳴ります。

他の端末を再生中他の端末で再生していない
マナーモードオン鳴らない鳴る
マナーモードオフ鳴る鳴る

アプリで接続デバイスの変更ができる

アプリには現在接続中の端末、過去に接続したことがある端末が一覧で表示され、アプリ側から接続や切断ができます。

ATH-CKS30TW

ただ、アプリを開いている暇があるなら、端末側のBluetooth設定で接続、切断すれば良いので、この機能を使うシーンは思いつきません。

端末を手放す際は初期化をしておかないと、譲渡先ユーザーの一覧に自分の機種の名前が記載されます。

利用シーンがしっかり考えられてるイヤホン

Audio Technica ATH-CKS30TW

ATH-CKS30TWは細かい気配りが行き届いた製品だと感じました。

ANCが省かれているので、全部入りを求める人は選択肢から外れますが、その分、コストダウンに成功しています。

突出した「ここがスゴイ」という部分は見出しづらいものの、すべての項目で「優」を取れる1台。

  • ANCは使わない
  • 長時間装着しても痛くならないものが欲しい
  • オールジャンルで聞き疲れしないものがいい

という方におすすめできそうです。

 

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