先日購入したXiaomiのRedmi Note 10 Proをはじめ、Galaxy S Ultraシリーズなどでも搭載されている「1億800万画素」のカメラ。
確かに1億と聞くとインパクトがありますが、一方で「スマホに1億万画素とかいるんかね…」と、少し冷めた目で見ているのは、僕だけじゃないはず。
なんとなくぼんやりとしか分かっていないスマホの「画素」について、ちょっと時間をかけて調べてみたので、シェアします。
専門家ではないですし、専門家の言葉をそのまま伝えても、あんまり意味がないと思うんで、できるだけ平易なことばで書きます。
ただ、これだけ知ってるだけでも、スマホの商品説明の見え方が少し変わると思うんで、サクッと押さえておきましょう。
スマホカメラの「画素」を理解するための基本用語
公式サイトの商品説明やレビュー記事など見ていると、いろんな難しいカメラ関係の用語が出てきます。
押さえておきたい最低限の用語をチェックしておきましょう。
- 画素数
- センサーサイズ
- 画素サイズ
- ピクセルピッチ
「画素数」はピクセルの数
1枚の写真は小さな点が集まってできています。その一つひとつの点はピクセルと言います。ピクセルの数が画素数です。
たとえば、1,200万画素の写真は4,000×3,000個、1億800万画素なら12,000×9,000個のピクセルによって作られています。
このピクセルひとつひとつに写真の情報が載っているので、ピクセル数が多くなれば、細かい描写ができるようになります。
また、パソコンやスマホのディスプレイも、ピクセルによって映像や画像、文字が映し出されています。
「センサーサイズ」は写真をつくる場所の広さ
スマホでもデジカメでも、「イメージセンサー」という場所で、ピクセルを並べて画像を作り出します。イメージセンサーはカメラの「目」とも言われます。
センサーサイズとは文字通り、イメージセンサーの大きさのことです。
センサーサイズは大きければ大きいほど、1ピクセルが取り込める情報量や光の量が多くなるので、画質が良くなります。
一般的なスマホのセンサーサイズは1/2.3型くらいですが、最近はより大きなセンサーを取り入れるスマホが増えています。
XiaomiのRedmi Note 10 Proは1/1.52型と、かなり大きめなセンサーを搭載しています。
この「1/2.3型」という基準は押さえておくといいですね。
「画素サイズ」はピクセルの大きさ
画素サイズはピクセルのサイズです。
ピクセルはセンサーの上で画像を作ると説明しました。
そのため、仮にセンサーの大きさが同じ場合は、画素数が大きくなると、画素サイズは小さくなります。
画素サイズが小さくなると、ひとつの画素が取り込める光の量が少なくなることで、ノイズが増えてしまいます。
また、明暗差の表現も、画素サイズが大きいほうが得意です。
ちなみに、画素ピッチということばもよくでてきますが、ピクセル同士の距離のことです。
ここまでの話をまとめると、センサーサイズがかなり重要になってくることが分かってきます。
なぜiPhoneは1,200万画素なのにきれいな写真が撮れるのか
引用元:https://www.apple.com/jp/iphone-12/
Galaxy S Ultraなどが1億800万画素を採用するいっぽうで、iPhoneやXperia 1 IIIなどでは1,200万画素と、画素数は約10分の1です。
しかし、だからと言って、iPhoneで撮った写真がGalaxyの10分の1の画質かというと、もちろん、そんなわけありません。
iPhoneの画素数が低いにも関わらず、精細な写真がとれる理由は
- センサーサイズに対して画素数が低いから
- 画像処理性能が高いから
この2点が主な理由のようです。
(もちろん、これ以外にも理由はあります)
同じセンサーサイズなら画素数が少ない方が明るい
先の「画素サイズ」のところでお伝えしましたが、仮に同じサイズのスクリーンにピクセルを詰め込んでいった場合、画素数が少ない方が1ピクセルあたりの画素サイズは大きくなります。
画素サイズが大きくなると、取り込める光の量が増え、鮮やかで豊かな画作りができます。
「いたずらに画素を詰め込まない」ことこそ、iPhoneで高画質な写真を撮れるポイントなのですね。
画層処理性能が高い
撮影した写真を処理する能力が高いことも、iPhoneできれいな写真が撮れる理由と言われています。
センサーサイズが大きい方がいいことは分かりきったことですが、小さなスマホの中に収めるのには限界があります。
iPhoneは最初からそこを割り切った上で、テクノロジーでいかに写真をきれいに仕上げるか、という課題に挑戦しています。
そもそも4Kディスプレイでも800万画素相当
さすがに1,200万画素は控えめすぎじゃない?と思うかもしれません。
例えば、写真は印刷する場合は、ある程度の高解像度が必要になります。
しかし、ほとんどの人は、撮った写真をスマホやパソコンで見たり、SNSに上げるなど、デジタル上で完結しているのではないでしょうか。
とても高画質な4Kディスプレイの解像度は3,840×2,160ピクセルです。掛け合わせると、約829万ピクセルになります。
つまり、4Kディスプレイでも800万画素のカメラで撮影すれば事足りてしまうとも言えるのです。
スマホカメラの高画素化に対して、ディスプレイなどの出力デバイスが追いついてないのが現状です。
1億800万画素あるメリット・デメリット
ようやく本題です。
ここまでは、どちらかというと「1億800万画素もいらない」「センサーサイズが大きいなら、低画素でもOK」というようなニュアンスで話してきましたが、もちろん、高画素のメリットもあります。
- トリミングや切り出しをしても高解像を保てる
- ビニング機能が使える
高画素カメラはなんと言っても、細部まで精細に描写できることが強みです。
撮った写真をピンチインして見比べてみると、1億800万画素とそれ以外では、その差がはっきりと分かります。
とりあえず広角で撮った写真の一部をあとで切り出す場合でも、くっきりした画質を維持できます。
トリミング前提で撮影すると考えるなら1億800万画素は初心者にこそ使えるカメラなのかもしれないとも思えますね。
ビニング機能で明るい写真が撮れる
1億800万画素ともなると、ピクセルの画素サイズが小さくなってしまうことは説明しました。
そこで、このような超高画素のカメラでは「ピクセルビニング」という技術が使われます。
ピクセルビニングは複数のピクセルをまとめてひとつのピクセルとして扱うことで、光を受け入れる面積を大きくして明るさや感度を上げるというものです。
例えばGalaxy Ultraシリーズには、9つ(3×3)のピクセルを1つとして扱うビニング機能があります。
通常は0.8×0.8μmのピクセルサイズが、ビニングによって2.4×2.4μmに。9倍の面積で光を取り入れることができるようになります。
iPhone 12 Pro Maxでも1.7μmなので、いかにそれが大きいかが分かります。
ふだんはより鮮明に、夜など光が必要なときにはビニング機能を使って明るさを補助するという、いいところ取りができます。
Redmi Note 10 Proでもビニング機能を採用
SamsungとXiaomiは、かつてから共同でカメラの開発を行っていたこともあってか、4月に発売されたXiaomiの超コスパモデル「Redmi Note 10 Pro」にもビニング機能がつきました。
35,000円程度のスマホのカメラに、最新技術が詰め込まれるのは改めてすごいことです。
デメリットはデータが大きくなること・処理時間がかかること
- 画像のデータサイズが大きくなってしまうこと
- 撮影後の処理に時間がかかること
- フォーカスが不安定なこともある
まず、撮影したデータの管理のしづらさがネックになります。
写真1枚で30MBを超えるようなこともあり、デジタルであっても気軽に撮影するのが気が引けてしまいます。
また、これだけのデータサイズがあるので、1枚撮影するごとに、多少の処理時間がかかります。スポーツやペットの動きをパシャパシャ撮るのは厳しそうですね。
また、フォーカスが不安定になる、といった声もあります。
個人的には「1億800万」より程よい画素数がいい
細部までキメ細かい写真が撮れて、最新のビニング技術で明るさも補助できる1億800万画素のカメラは、スマホカメラの進化の象徴です。
ただ、これだけデータサイズが大きいと、「ここぞ」というときにしか1億800万画素は使わなくなるのは、なんとなく予想できます。
ビニング機能もすばらしいと思いますが、「だったら、始めから明るく撮れるほどよい画素数でよくない?」とも思ってしまいます。
もちろん、スマホのカメラで何をしたいかによるので、1億800万画素が一概に不要だとも言えません。
ただ、超高画素という選択肢をスマホの中に忍ばせておけるのは、うれしいかもしれません。
また、スマホのカメラを見るときは、
- センサーサイズ
- ピクセルサイズ
- f値(この記事では触れてないけど、f値の数字が小さいほど明るく撮れる)
カメラにそこまで詳しくない人も、この辺のキーワードに注目してみるといいかと思います。
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