「Apple製品間の接続切り替えがスムーズ」と一言に語られるAirPodsですが、実際は絶妙に使いづらい部分があります。
正直なところ、Apple信者だからという理由で無条件にAirPodsを買うより、マルチポイント対応のイヤホンを買った方が、幸せになれる人もいます。
「自動接続切り替え」を目当てにAirPodsシリーズの購入を検討されている方が知っておきたい注意点をまとめておきます。
==この記事の結論==
iPhone、iPad、Apple Watch間で使うなら、ほとんどマルチポイント接続に近い使い勝手。
一方でMac↔iPhone、Mac↔iPadのような接続切り替えは、使いづらい。
この記事の執筆にあたっては、以下の環境で動作検証をおこなっています。
- AirPods Pro(第1世代):バージョン 5B58
- MacBook Air(2020):macOS Ventura 13.1
- iPhone 12 mini:iOS 16.1
- iPad Pro 11インチ(2021):iPad OS 16.2
OSのバージョンや機器によっては、この記事の説明とは異なる挙動になる可能性があります。
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AirPodsの自動接続切り替え
AirPodsの「自動接続切り替え」はiOS14、macOS Big Surで搭載された機能です。
同一のApple IDでサインインされている端末間では、AirPodsの接続先が自動で切り替わります。
例えばAirPodsにつないでiPadで動画を見ているときに、iPhoneに着信があると、接続がiPhoneに切り替わり、そのまま電話に出ることができます。
マルチポイントとの違い
AirPodsの「自動接続切り替え」の使い勝手は「マルチポイント」に似ていますが、仕組みが異なります。
AirPodsの 自動切り替え | マルチポイント | |
---|---|---|
同時接続 | 1台 | 2台 |
対応デバイス | iPhone、iPad、iPod touch、 Apple Watch、Mac、 Apple TV | 制限なし |
端末側からの上書き接続 ※ | ◯ | イヤホンによる |
※端末側からの上書き接続:接続先の端末のBluetooth設定から、上書き接続できるか
大前提として、マルチポイント接続は2台同時に接続状態をキープできますが、AirPodsで常に接続されているのは1台のみです。
(Bluetooth設定を見ると、2台同時に接続されていることもありますが、実態は1台にしか接続されていません)
AirPodsでは接続の切り替えをスムーズに行うことで、あたかも、複数のデバイスで同時に接続しているかのような使い勝手を実現しています(疑似マルチポイント)。
※ AirPodsの対応端末
あくまで「自動切り替えに対応しているのがApple製品のみ」であって、AirPods自体はAndroidやWindows機などとも接続できます。
以下では、2つのAirPodsの自動接続切り替えに関する注意点をお伝えします。
注意点① 必ずしも「再生時に自動で切り替わる」わけではない
AirPodsのレビューの中には「音楽や動画を再生すると、自動で切り替わる」と説明されることがあります。
しかし正確には、必ずしも「再生すると」切り替わるわけではありません。
僕の使用する限り、AirPodsに接続されていない端末をしばらく操作していると、オーディオ再生の有無に関わらず、切り替わります。
以下のようにブラウザを閲覧しているだけでも、自動で切り替わります。
メディアを再生することが切り替えのトリガーになっているわけではないようです。
事故る可能性がある
このように自動切り替えのタイミングは、そのときによってまちまちです。
例えば、外出先で異なるデバイスで再生したときに、切り替えが間に合わずに、スピーカーから大音量で音声が流れてしまう可能性もゼロではありません(っていうか、高確率でやってしまいそうで怖い……!)。
公共の場で利用するときは、Bluetooth接続から手動で切り替える、もしくは、AirPodsに接続されているか確認してから再生するクセをつけたいところです。
注意点② iPhone(iPad)→Macの自動切り替えはできない
OSの仕様の問題なのか、Mac接続時の挙動がiPhoneやiPadなどの他のApple製品とは異なります。
例えばiPhoneに接続されている状態でMacを操作していても、自動で接続が切り替わりません。
Macの場合、接続されていないと「AirPods 近くにあります[接続]」という通知が表示されます。
この通知が表示されたあと、Bluetooth接続の項目を見てみると、AirPodsに自動で接続されているように見えます。
しかし、この状態で音楽や動画を再生すると、Mac本体から音声が出力されます。
接続を切り替えるには、「サウンド」の「出力」から、AirPodsを選択する必要があります。
逆に、iPhoneなどの別のデバイスに接続されている状態では、「出力」からAirPodsを選ぶことで、接続を切り替えられます。
2023年11月追記:挙動が変わったかも
2023年11月、「macOS Sonoma」にアップデートしたタイミングで確認したところ、これまでと挙動が変わっているように感じました。
- 先にMacに接続しておく
- iPhoneで操作をすると、接続が移動する
iPhoneに移動したタイミングで、Macに以下のような通知が出るようになりました。
ただし「iPhoneの移動しました」となっていますが、MacのBluetooth接続を見てみると、Air Pods Proに接続されたままのように見えます。
ここまでは従前と同じ。
これまでだと、この状態でMacで再生しても、Mac本体から出力されてしまっていたのですが、再びAirPodsがMacに移動して、出力されるようになっていました。
で、再度、iPhoneやiPadを操作すると、接続はそちらに移動し、三度、Macで再生すると、ちゃんと、AirPodsから聴こえる……(以下、繰り返し)。
- Mac×iPhone
- Mac×iPad
のような使い方でも、ほぼマルチポイントと同じ感覚で使えるうようになっていることを確認しています。
※確認した範囲では精度はかなり高くなりましたが、それでも「100%」ではありませんでした。
とくにMac→iPhone→iPad→Macのように3台以上になると、Macに帰って来れないことがあります。
Apple製品ユーザーでも、マルチポイント&上書き接続対応イヤホンの方が便利
iPhone、iPad、Macと、どっぷりApple製品に囲まれている僕でさえも「マルチポイントの方が使い勝手は上」だと感じます。
iPhoneやiPad、Apple Watchだけで使うのであれば、AirPodsの自動接続切り替えは確かに便利です。
一方で、Macが絡んでくると「100%完璧な切り替え」とは言えないのが現状です(それでも、以前よりは安定するようになりました)。
MacユーザーがiPhoneやiPadとの自動接続のためだけにAirPodsに買い換えるのは、おすすめできません。
マルチポイント対応イヤホンかつ、上書き接続できるものを購入した方が、理想の接続環境を手に入れられると思います。
AirPodsの魅力は「空間オーディオ」や「アクテイブノイズキャンセリング・外部音取り込み(Proモデルのみ)」であって、自動接続切り替えは、まだ発展途上といった感じです。
今後のアップデートでの改善を期待しています。
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