マラソン界の常識を覆したNIKEのVapor flyシリーズ。特にこの年末年始は高校駅伝、ニューイヤー駅伝、箱根駅伝と、ほぼすべてのトップ選手がピンクかアシンメトリーカラーのVapor flyを履いていた。記録だけがものを言う世界では、もはやVapor flyを履かないと、勝負の土俵にすら立つことができない時代がやってきたと言える。
このVapor flyがこれまでと違うのは、市販製品だということ。トップ選手ともなると、その選手に合わせて作られた特注のシューズを履いてレースに出るということがこれまでの常識だった。だから、私たち市民ランナーは、そこまでトップ選手が履いているシューズに関心を持つことは少なかった。それがVapor flyの場合、一般の消費者も全く同じ商品を履くことができる。それが今回Vapor flyがここまでランナー界全体を巻き込んだブームを巻き起こすのに成功した大きな理由の一つだと思う。
でも、とにかくVapor flyは高い
その一言に尽きる。私も無尽蔵にお金があるのなら、耐用距離約150㎞、4万円のVapor flyを毎月履きつぶしたい。ただ、悲しいかな、少ないサラリーに頼っている弱小ランナーがそんなことをしたら、生活が破綻してしまう。
New Balanceを履きたい、でも厚底のトレンドにも乗りたい
と言ってみたものの、これまでにもNew Balanceを履いてきたこと、そしてFC岐阜のユニフォームサプライヤー様であることから(これとても大事)、私はこれからもできればNew Balanceを履いて記録を狙っていきたいと思っている。
でも、全体の流れとして厚底へとシフトしている現状を無視することはできない。
ということで、New Balanceで厚底を履いてフルでサブ3を狙いたい私は、現在のNew Balanceのラインナップの中で、その希望に応えてくれる商品を探してみることにした。
選考の基準
・サブ3を狙える
・クッション性と反発性を両立している
・見た目が厚底
結果、候補として3足(+1足)を見つけることができたの、順に紹介していきたい。
New Balanceのランニングシューズは大きく分けて3つのシリーズがある
New Balanceで厚底シューズを探す前に、New Balanceのランニングシューズの全体像を確認しておきたい。大きく分けて3つのシリーズがある。
シューズ職人の三村仁司氏が主宰する『M.Lab』(ミムラボ)が開発に関わっている、New Balanceの主力シリーズの「HANZO」、初心者ランナーや軽い運動、リカバリーランでの使用を想定した「FRESHFORM」、New Balanceのインターナショナル企画で、最も高い反発弾性を備えたミッドソール素材を使用している「FUEL CELL」だ。
今回はこの3つのシリーズの中から、厚底シューズを探してみたいと思う。
FUEL CELL REVEL
まず最初に候補に上がったのが「FUEL CELL REVEL」。日本では2019年の夏に発売。未来的でかっこいい外観、パット見てNew Balanceらしからぬ厚底感、これは期待できそう。
シューズの特徴は以下の通り。
・甲周りが一体化したフィット感
・ソールは外側の中ほどに出っ張りがある、かなり珍しいアシンメトリーなデザイン
・蹴り出しの際に弾むような推進力を得られる
・スピードを上げたいトレーニングなど、アクセントをつけたいときの使用
・重量はメンズ27cmで204g
Vapor flyの特徴でもあるカーボンプレートは入っていないものの、厚底の割には200gと軽量で、反発、推進力も期待できそう。価格も定価で13,750円と良心的。
【NB公式】ニューバランス |MFCXBM:シューズ| New Balance【公式通販】
FUEL CELL PROPEL
2つ目に紹介するのが、同じくFUEL CELLシリーズから「FUEL CELL PROPEL」。立ち位置的には上のREVELの弟分的な存在になる。REVELはFUEL CELLが前足部に搭載されているのに対して、PROPELは全面に使用されている。REVELがフォアフット着地、PROPELはミッドフット着地での使用を想定している。
・税込13,200円とREVELよりわずかに安い
・255g(メンズ27cm)とREVELよりも50gも重い
どちらを購入するか迷ったときの一つの指標として、キロ5〜6分台ならPROPEL、4分台以上ならばREVELを選んでおけばよさそうだ。
【NB公式】ニューバランス |MFCPRLF1:シューズ| New Balance【公式通販】
なお、FUEL CELLモデルには上記2商品の他に「FUELCELL 5280」と「FUEL CELL ECHO」という商品もある。「FUELCELL 5280」は昨年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で神野大地選手が履いたモデル。トラック競技のスパイクのようなフォルムでグリップ力があり、Vaporのようにカーボンプレートが内蔵されている。
しかし、このモデルは現時点では販売を終了しており、また、もともとが1マイル(1.56km)を走るためのシューズとして開発されているので、今回の選択肢からは除外した。
ECHOはデザイン性を重視した、タウンユースにも対応できるモデルで、市民ランナー向けとは言い難い。
FRESH FOAM BEACON
「快適さ」をコンセプトに開発されているFRESH FOAMシリーズ。ミッドソールの外側と内側で異なる大きさの「ハニカム構造」を採用しているFRESH FOAMは、クッション性と安定性を求めたシリーズで、小さな六角形のクッションがたくさん並んでいるのが特徴的。
3足目に紹介するのが、2019年秋に発売された最新作「FRESH FOAM BEACON」はフワリと進む、乗りごこちをキャッチコピーに売り出しており、FRESH FOAM史上、最も軽くて柔らかなクッショニングを謳っている。
上のCM動画で神野大地選手は「ジョグで使用してる」、「キロ3分(台)でも大丈夫」だと述べている。サブ3を目指すようなランナーにも試してみる価値はありそうだ。
なお重さは27.5cmで220g程。重さを重視するならば、1つ目のFUEL CELL REVELの方が良さそうだ。ただ、市場価格はこちらの方が安く、6,000円台から買える店舗もある。
【NB公式】ニューバランス |FRESH FOAM BEACON: New Balance【公式通販】
HANZO U
以上3足が、現時点でNew Balanceで厚底を履きたいときに候補に上がってくる商品だったが、主力ラインであるHANZOからも一足選んでおきたい。ただHANZOはそもそも厚底とは対極にあるような位置づけのシューズなので、「HANZOの中では」ということで。
HANZOの中では最も安定性を重視したモデルと言えるHANZO Uは「すべての長距離ランナーのためのシューズ」。フルマラソンからウルトラマンの使用も歓迎している。
軽量で反発性に優れたREVLITEミッドソール、安定性を高めるために踵の外側に大型の補強材「ASYM COUNTER」を採用。
現行モデルはHANZO Uとしては2代目だが、1995年に初めて日本人ランナーのために開発された「M600」の系譜をたどっており、New Balanceのマラソンシューズへの技術と思いが詰まった特別な商品だ。
26cmで260gと少し重めで、しかも今回の企画の趣旨である厚底とは言えない商品だが、特に初心者ランナーにはおすすめの一足だ。
【NB公式】ニューバランス |MHANZUF2:シューズ| New Balance【公式通販】
機能まとめ
以上、New Balanceの厚底シューズを探してみたところ、3足+1足を見つけることができたので、最後にまとめて比較しておこう。
FUEL CELL REVELFUEL CELL PROPELFRESH FOAM BEACONHANZO U
機能 | FUEL CELL (前足部) |
FUEL CELL(全面) | FRESH FOAM | 260g(26cm) |
---|---|---|---|---|
重さ | 204g(27cm) | 255g(27cm) | 220g(27.5cm) | 260g(26cm) |
ペース (独断) |
〜4分/km | 5分/km〜 | 3分/km〜 | 5分/km〜 |
見た目 (主観) |
★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★ |
市場価格 | 12,000円 | 11,000円 | 8,000円 | 6,000円〜 |
FUEL CELL REVEL
・NB史上もっとも高い反発弾性を備えたミッドソール素材を前足部に使用
FUEL CELL PROPEL
・NB史上もっとも高い反発弾性を備えたミッドソール素材を足裏全面に使用
FRESH FOAM BEACON
・FRESH FOAM 史上、最も軽くて、柔らかなクッショニングを実現
HANZO U
・反発性がアップしたRVLITE素材を全面に使用
FUEL CELL REVELを試したい、FRESH FOAM BEACONも気になる
個人的にはやはり一番最初に気になったFUEL CELL REVELを一番試してみたいです。ただ、本当にレビューが少ないんで、不安もあります。また、FUEL CELL REVELは今のモデルが初号機なので、今後改良されるだろう次回作に期待するという考え方でもいいでしょう。
そうなると、実績のあるFRESH FOAM シリーズのFRESH FOAM BEACONが最有力となるでしょうか。「フワリと進む、乗り心地」とはどんなものなのか、気になってしょうがありません(消費におけるコピーって本当に大事ですね)。神野大地選手が3km台でもいける、って言葉も信じてみたいです。
NIKEが起こした厚底革命。しばらくはNIKEの一人勝ちの時代が続くと思われます
。そのNIKEの厚底に対して、他のメーカーがどのような商品を開発してくれるのか、一市民ランナーとして楽しみにしています。
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